第十一話 カメラマン 高島史於

 チョロ松の普段の生活を撮るためにカメラマンがやって来た。カメラマンは十話でも紹介した高島史於先生他3名のスタッフで多摩川河川敷へ着いた。毎日訓練している知った所とはいえ、今日のチョロ松は違った。いつも以上に威風堂々たる歩き方で土手をゆっくり四つ足で下りていった。もう撮影することを知っている感じでもあった。九月中旬とはいえ、まだ日中は残暑が厳しい一日で、普通の人でもかなりの休憩を挟みながらでないときついだろうなと思うほどハードな撮影だったが、チョロ松は陽が沈む夕方まで撮影に付き合った。少しも嫌がる態度を見せなかったチョロ松がたくましくも見えた。それにもまして、私が指示命令を出す前にチョロ松の方から高島先生の向けるカメラに反応して勝手にポーズをとっていたことが、いかにもチョロ松がスターであることを私にアピールしているかのようにも見えた。高島先生は「チョロ松くんは本当にすごい。人間のモデルでもなかなかカメラマンの狙ったポーズはしてくれないけど、チョロ松くんはカメラを向けると勝手に望んでいるポーズをとってくれる。やるべきことが分かっているんですね」。とおっしゃった。初対面からたった数時間の撮影で高島先生とチョロ松の距離はぐっと縮まって信頼関係すら出来ていた。チョロ松を尊重し、自然に輝きを引き出そうとしてくださる高島先生に感服した。

 写真集「チョロ松くん」は、ダイナミックセラーズ社編集部の上嶋光三氏の企画で実現した。実は第一弾で「ケニー・スケボーにのった天使」という一人の少年を題材にした写真集がベストセラーを記録し、その第二弾としてチョロ松に白羽の矢が立ったのだ。いわゆる社運を賭けた企画と聞き、プレッシャーを感じていた。また、撮影現場で、チョロ松に様々なポーズを求められリクエストに応えることができるか正直不安はあった。しかし初日の撮影を終え、高島先生の人柄を知り、何より先生がチョロ松に惚れ込んで下さったこと、この後続くであろうハードな撮影も高島先生ならチョロ松の良さを十分に引き出してくれると確信し不安は一掃された。この後、都内スタジオでの撮影、横浜を代表するスポットでの撮影が行われた。